日本では多くの家庭が複数の保険を掛け持ちしています。結婚前に契約した保険をそのまま続けている方も少なくありません。その結果、保障が重複していたり、子どもが独立した後も高額な死亡保障を維持し続けたりするケースが目立ちます。
実際の保険料の目安は、家族構成で大きく変わります。生命保険文化センターの全国実態調査によると、夫婦のみの30代前半で年間約28.7万円、末子が高校・大学生の50代前半で年間約39.8万円というのがひとつの目安です。年収が上がるほど保険料も増えますが、年収に占める割合で見ると大きな差はありません。
ポイントは「平均に合わせること」ではなく、自分たちの家計から逆算することです。生命保険の見直しを考えるなら、まず証券を広げて「何のために、いつまで、いくら」の保障を持っているのかを確認しましょう。
公的保障を確認して、足りない分だけを民間で
生命保険を見直す第一歩は、公的保障の確認です。日本には公的医療保険と高額療養費制度があり、医療費の全額を民間保険で準備する必要はありません。厚生労働省の資料では、一般的な所得の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は月額約8.7万円まで抑えられる例が示されています。今後、この制度の負担上限額の見直しも予定されています。
世帯主が亡くなった場合には遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給され、団体信用生命保険があれば住宅ローンの残債も消えます。ここから預貯金や退職金、弔慰金を差し引くと、実際に生命保険で残すべき金額が見えてきます。
民間保険で見るべきは、差額ベッド代、通院費、入院中の食事代、先進医療を希望する場合の費用、休職時の収入減、介護が始まったときの家族の負担です。不安だから全部に入るのではなく、公的制度で残る穴を埋める考え方が現実的です。医療保険やがん保険も、この視点で選ぶと保険料の払い過ぎを防げます。
終身型と定期型の使い分けで無理なく備える
生命保険には、保障が一生涯続く終身保険と、一定期間だけ保障する定期保険があります。終身保険は解約返戻金が残り、保険料も加入時から変わりません。定期保険は保険料が安く、子どもの教育費がかかる時期に手厚い保障を上乗せするのに向いています。
| 商品 | 特徴 | 保険料目安 | 向いている人 | メリット | デメリット |
|---|
| 終身保険 | 一生涯の死亡保障、解約返戻金あり | 比較的高め | 保障を生涯続けたい人 | 保険料が変わらない、資産性がある | 払込総額が大きくなりがち |
| 定期保険 | 一定期間の死亡保障 | 比較的安め | 子育て中の世代 | 同じ保障額なら保険料が安い | 更新時に保険料が上がる |
| 医療保険 | 入院や手術に備える | 30代で月額数千円 | 手厚い医療保障が欲しい人 | 終身型が多く続けやすい | 公的制度と重複しがち |
| がん保険 | 診断一時金や治療給付 | 30代で月額1800円〜 | がんの不安がある人 | 診断一時金でまとまった資金 | 女性は保険料がやや高め |
| 学資保険 | 教育資金の積立 | 月額1万円前後が一般的 | 教育資金を確実に残したい人 | 計画的に積み立てられる | 利回りはそれほど高くない |
| 都内在住の40代夫婦Mさんは、死亡保障を定期保険と終身保険に組み替え、がん保険の特約を整理しました。その結果、毎月の保険料を1万円以上減らし、浮いた分を積立投資に回したそうです。手続き自体は保険相談窓口を介して数週間で完了しました。こうした事例は、大阪や名古屋などの大都市圏でも増えています。 | | | | | |
見直しは家族の形に合わせて、一歩ずつ
見直しの進め方は簡単です。まず保険証券を集め、死亡保障・医療保障・貯蓄部分の三つに分類します。次に公的保障を確認し、不足額を計算します。子どもが独立するまでの10年間だけ手厚くしたいなら定期保険、老後の葬儀費用や相続対策を考えたいなら終身保険が選択肢になります。
一人で進めるのが不安な場合は、地域の保険相談窓口を活用しましょう。ほけんの窓口や保険クリニックなど、全国の主要都市に相談窓口があります。生命保険文化センターのサイトでは、必要な保障額をシミュレーションするツールも公開されています。平日忙しい方は、ネット型生命保険の比較サイトも選択肢です。自分の都合のいい時間に複数の商品を比べられますが、専門的な内容の理解や、ネットでは取り扱いのない商品がある点は押さえておきましょう。
保険料を下げて浮いた分をどう使うかは、家族で話し合って決めてください。NISAやiDeCo、預貯金など、行き先を決めておくと、保障が減る不安を前向きな備えに変えられます。あなたの家族にとって「ちょうどいい」保険は、数字だけで決まるものではありません。これまでの暮らしとこれからの予定を棚卸しして、無理なく続けられる保障を選びましょう。