生命保険文化センターの全国実態調査によると、日本の世帯加入率は約9割に達します。1世帯あたりの平均加入件数は3.8件、年間払込保険料は平均35万円前後と、家計のなかでも無視できない支出の一つです。
ただし、加入しているから安心というわけではありません。実際には「昔入った保険のまま何十年も見直していない」「営業担当に勧められるまま複数の保険を抱えている」という家庭も少なくありません。保障内容が家族構成やライフステージと合っていなければ、保険料だけが負担として残ります。
保険に求める役割は人それぞれです。独身なら死亡保障よりも医療保障を重視するでしょうし、子育て世代なら万一のときの収入保障が必要です。自営業の人なら、会社員にはない所得の不安定さへの備えが欠かせません。まずは自分がどの立場にいるのかを棚卸しすることが、保険選びの第一歩になります。
目的別に整理する生命保険の種類
生命保険とひとくちに言っても、役割は大きく四つに分けられます。
一つ目は死亡保険です。家計を支える人が亡くなったときに、残された家族の生活を守るための保険で、終身保険と定期保険に大別されます。終身保険は一生涯の保障が続く代わりに保険料は高めで、定期保険は一定期間の保障で保険料を抑えられる反面、期間が終わると保障がなくなります。
二つ目は医療保険です。病気やケガによる入院・手術の費用を補償します。若い世代ほど加入ニーズが高く、入院1日あたりの給付額や手術給付の有無など、商品ごとに設計が異なるため比較が欠かせません。
三つ目はがん保険や三大疾病保険です。がん・急性心筋梗塞・脳卒中といった特定の疾病に備えるもので、治療が長引くほど診断給付金や通院給付の意義が大きくなります。
四つ目は個人年金や積立型保険です。老後の資金づくりや資産形成を目的とするもので、学資保険もこの仲間です。近年は一時払終身保険や外貨建て・変額型の商品も人気を集めていますが、為替や運用成績によって受け取り額が変動するリスクを理解しておく必要があります。
年代別に見る、備えるべきリスクの変化
生命保険は入ったまま放置するのではなく、年代に応じて見直すことが大切です。目安は以下のとおりです。
| 年代 | 重視すべき保障 | 保険料の目安(年間) | 見直しのポイント |
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| 20代 | 医療保険・就業不能保障 | 30万円前後 | 低額で死亡保障は後回し、貯蓄とのバランス |
| 30代 | 死亡保険・医療保険 | 30万円前後 | 結婚・出産・住宅購入に合わせて保障額を検討 |
| 40代 | 死亡保険・がん保険 | 35~40万円前後 | 子どもの教育費と老後準備の両立 |
| 50代 | 収入保障・医療保険 | 40万円前後 | 住宅ローン残高に応じて死亡保障を縮小 |
| 60代以上 | 医療・介護・認知症保障 | 30~35万円前後 | 子ども独立後は死亡保障より老後備えを優先 |
| 30代は結婚や出産といったライフイベントが重なり、死亡保障の必要性が最も高まる時期です。一方、60代になると子どもの独立で死亡保障の必要性が下がる反面、医療や介護への備えが重要になります。業界の実態調査でも、60代以降は医療保険や認知症保険への関心が高まるとされています。 | | | |
| 大阪や東京といった都市部では共働き世帯が多く、夫婦それぞれに医療保険を掛けるケースが一般的です。地方では持ち家と住宅ローンの残高に応じて定期保険を組む家庭が多く、地域によって保険の使われ方にも特徴が見られます。 | | | |
失敗しない生命保険の選び方、4つの手順
保険選びで最も大切なのは、まず必要保障額を計算することです。「いくら備えるか」が決まらないまま保険会社を比較しても、正しい判断はできません。
ステップ1:必要保障額を計算する
万一のときに残された家族がどれだけの生活費を必要とするかを算出します。住宅ローンの残高、子どもの教育費、毎月の生活費の何年分か、という観点で計算すると具体的になります。
ステップ2:保険の種類を絞り込む
死亡保障なのか、医療保障なのか、それとも介護や老後資金なのか。備えたいリスクを明確にしてから商品の種類を決めます。公的保障や貯蓄でカバーできる部分は、民間保険で二重に備える必要はありません。
ステップ3:複数社で見積もりを取る
同じ保障内容でも保険料は会社によって大きく異なります。ネット型の保険会社は手数料が抑えられている分、同じ保障でも保険料が割安になることが多い傾向があります。定期保険ならチューリッヒ生命やSBI生命、終身保険ならオリックス生命や楽天生命など、複数社を比較検討しましょう。
ステップ4:加入方法を選ぶ
対面の営業経由か、インターネット申込か、保険代理店か。ネット申込型は保険料が安い一方で、自分で商品を選ぶ知識が必要です。初めての加入なら、専門家に相談できる代理店を活用するのも選択肢です。
まとめと次の一歩
生命保険は、決して「早く入ったほうが得」というものではありません。加入時期が遅れるほど保険料は上がりますが、必要性を理解せずに入った保険は、いずれ見直しのコストが発生します。日本の約9割の世帯が加入しているという事実は、それだけ多くの人が生命保険に価値を見出している証拠でもあります。
とはいえ、保険は一度入ったら終わりではありません。ライフステージの変化に合わせて、2~3年に一度は保障内容と保険料を見直す習慣をつけましょう。最近ではオンラインで複数社の見積もりを比較できるサービスも充実しており、対面の営業を待たずに自分に合った保険を見つけられる環境が整っています。
まずは現在の保険証券を確認し、保障内容と保険料を書き出してみてください。そこから「今の自分に本当に必要な保障は何か」を考えれば、次の行動は自然と見えてきます。家族を守るための備えは、正しい情報をそろえることから始まります。