全国調査では緊張型頭痛が約15.6%、片頭痛が約8.4%と報告され、慢性的な頭痛を持つ人は全体の約4人に1人に上ります。片頭痛は女性に多く、男女比はおよそ1対4。ズキズキと脈打つ中等度から重度の痛みに加え、吐き気や嘔吐、光や音への過敏を伴うため、仕事や家事を休まざるを得ない場面も少なくありません。発作は半日から24時間ほど続き、月に1〜5回の頻度で起こるとされています。
一方、緊張型頭痛は後頭部から首にかけて締め付けられるような痛みが続き、肩こりや首のこりとの関連が深いとされています。デスクワークの時間が長い人や、長時間同じ姿勢でパソコンやスマートフォンを操作する人は注意が必要です。群発頭痛は目の奥をえぐられるような激しい痛みが繰り返すタイプで、こちらも専門医の診察が欠かせません。頭痛のタイプによって効く薬や対処法が異なるため、自己判断で市販薬に頼り続けるより、自分の頭痛の特徴を整理して専門医に相談することが改善への近道です。
ここで注意したいのが、危険な頭痛のサインです。「今までで最悪の頭痛」「バットで殴られたような突然の激しい痛み」を感じた場合や、発熱と首のこわばり、ろれつが回らない、手足のしびれ、視野が欠けるといった症状を伴うときは、くも膜下出血や脳卒中、髄膜炎などの可能性があります。ツボ押しや市販薬で様子を見ず、ただちに救急要請または救急外来を受診してください。こうした二次性頭痛を見逃さないことが、安全な対処の大前提です。
頭痛外来と最新治療で広がる選択肢
繰り返す頭痛に悩んでいるなら、頭痛専門外来や頭痛センターの受診を検討してみてください。国立病院機構の頭痛センターなどでは、脳神経内科と脳神経外科に加え、眼科・耳鼻科・口腔外科・整形外科が連携し、片頭痛や緊張型頭痛の治療はもちろん、緑内障や副鼻腔炎、歯性上顎洞炎などが原因の二次性頭痛も幅広く診断できます。診断から治療、予防まで一貫して対応できる体制が整ってきています。
治療薬も進歩しています。発作時の急性期治療ではトリプタン製剤が中心で、吐き気が強い場合は制吐剤も併用されます。発作が月に4回以上ある、内服の予防薬で効果が不十分な場合は、CGRP関連抗体薬による予防療法の対象となることがあります。2026年9月には点滴で投与する新しいタイプのCGRP標的予防薬も国内で承認され、治療の選択肢はさらに広がっています。
CGRP関連抗体薬は、脳内で片頭痛の発作に関わるとされるCGRPという物質の働きを抑え、頭痛の日数そのものを減らす予防薬です。エムガルディは初回2本を皮下注射し、以降は月1回の投与。アジョビは4週ごと、または12週ごとにまとめて注射する方法も選べます。ただし、これらは起こってしまった痛みを和らげる薬ではないため、発作時の頓服薬と組み合わせて使うのが一般的です。費用や通院の頻度も含めて、医師と相談しながら決めるのが安心です。
| 治療・サービス | 費用の目安 | メリット | 注意点 |
|---|
| 頭痛外来・頭痛センター | 保険適用、自己負担は診察内容により異なる | 専門医による精密な診断、CT・MRIなどの検査も可能 | 人気の施設は予約待ちになることも |
| オンライン頭痛診療 | 初診約1,000円+システム利用料 | 通院時間が不要で再診も手軽 | 対面での検査は受けられない |
| CGRP予防薬(エムガルディ) | 1本の薬価45,165円、3割負担で13,550円 | 月1回の注射で頭痛日数が減る | 発作中の痛み止めではない |
| CGRP予防薬(アジョビ) | 1本の薬価39,064円、3割負担で約13,000円 | 4週ごとまたは12週ごとの投与が可能 | 通院または自己注射の練習が必要 |
| トリプタン製剤(発作時) | 保険処方、薬剤により自己負担は異なる | 発作が起きたときに速やかに効果 | 使いすぎると頭痛が悪化する恐れ |
| 鍼灸・マッサージ | 保険外が中心で施術により異なる | 肩こり由来の緊張型頭痛に効果的 | 片頭痛には合わない場合もある |
今日から始められるセルフケアと受診のすすめ
医療機関での治療と並行して、自宅でできる対策も大切です。手軽に始められるのが頭痛ダイアリーの記録で、発作の日時、痛みの強さ、場所、きっかけをメモしておくと、自分の頭痛の傾向が可視化され、診察の際にも役立ちます。30代の会社員の方からは、週末の寝すぎが発作の引き金だと気づき、生活リズムを整えたところ頭痛の頻度が半分に減ったという話も聞きます。睡眠不足と寝すぎの両方が片頭痛の引き金になるため、就寝・起床時間を一定に保つことも予防につながります。
緊張型頭痛には、肩や首を蒸しタオルや入浴で温めて血流を促す方法が効果的です。デスクワークの合間に背伸びや肩回しを取り入れる、画面を長時間見るときは20分ごとに遠くへ目を向けるなど、日常の小さな習慣が積み重なると頭痛の頻度は変わってきます。ツボを押す場合は、頭頂の百会と後頭部のくぼみにある風池を、息を吐きながらやさしく3秒ほど押すのが基本です。強く押しすぎると逆に痛みが強まることもあるので、心地よいと感じる強さで行ってください。
東洋医学の視点を取り入れるのも一つの方法です。片頭痛や緊張型頭痛は漢方の適応となることも多く、体質に合った生薬を選ぶことで頭痛の頻度や強さが穏やかになるケースがあります。ただし、市販の鎮痛薬と漢方を自己判断で併用すると思わぬ副作用が出ることがあるため、必ず医師や薬剤師に相談してから使い始めてください。
受診の目安は、月に何度も頭痛で生活に支障が出ている、市販薬を週に数回以上使っている、頭痛とともに吐き気や倦怠感が続くといった状態です。近くの頭痛外来を探すときは、脳神経内科のある総合病院や頭痛センターを掲げる施設をチェックし、オンライン診療に対応しているかを確認すると通院の負担が減ります。予約は公式サイトやアプリから行える施設が増えており、会社帰りの受診や在宅での再診もしやすくなっています。つらい頭痛を我慢し続けるより、専門家の助けを借りて自分に合う予防法と対処法を組み立てるほうが、長い目で見て確実に楽になります。