日本で選べる結婚式のスタイルは大きく分けて三つあります。神前式、教会式、人前式です。それぞれに歴史的背景と演出の違いがあり、カップルの好みや家族の意向によって選ばれます。
神前式は、神社の境内にある神殿で執り行う伝統的な和式の結婚式です。巫女の舞や雅楽の音色に包まれながら、三三九度の杯を交わし、神様に夫婦となる誓いを立てます。花嫁は白無垢や色打掛をまとい、花婿は紋付袴で臨むのが一般的です。1900年の大正天皇のご成婚をきっかけに広まったこの形式は、日本の家族観や伝統を重んじる方に今も根強い支持があります。
教会式は、チャペルや教会で行う西洋式の挙式です。白いウェディングドレスとタキシード、バージンロード、聖歌隊の賛美歌——こうしたロマンチックな演出が魅力で、戦後から現在に至るまで多くのカップルに選ばれてきました。実際にはキリスト教信者でなくても挙式できる会場がほとんどで、ホテルや専門式場内のチャペルが広く利用されています。
人前式は、神や教会ではなく、参列したゲストの前で誓いを立てる形式です。決まった儀式の型がなく、演出の自由度が高いのが特徴。ガーデンウェディングやレストランウェディングとの相性も良く、近年人気が高まっています。自分たちでオリジナルのセレモニーを組み立てたいカップルにぴったりです。
結婚式にかかる費用のリアル
結婚式の費用は、人生の中でも住宅購入に次ぐ大きな出費のひとつです。2026年の全国平均は約303万円。ただし、ゲストの人数や会場の格式、地域によって金額は大きく変わります。一般的な60〜70名規模の披露宴では300〜380万円、20〜30名の少人数婚では150〜200万円が目安です。ふたりだけで行うフォトウェディングなら10〜30万円程度で思い出を形にできます。
注意したいのは、式場の初回見積もりは最低限の内容で組まれていることが多い点です。打ち合わせを重ねるうちに希望の演出や衣裳が加わり、最終的には当初見積もりの1.2〜1.5倍になるケースが珍しくありません。契約前にふたりで予算の上限をしっかり決めておくことをおすすめします。
費用の内訳を把握しておくと、どこにこだわりどこを削るかの判断がしやすくなります。以下に主な費目と目安をまとめました。
| 費目 | 内訳の目安 | 金額の幅 | ポイント |
|---|
| 挙式料・会場費 | チャペル使用料、神殿使用料など | 30万〜50万円 | オフシーズンや平日で割引になる場合あり |
| 料理・飲物 | ゲスト1人あたりの飲食費 | 1.5万〜2.5万円/人 | 70名で約105万〜175万円、最大の費目 |
| 衣装 | ドレス、タキシード、和装レンタル | ドレス20万〜40万円、和装8万〜35万円 | 購入よりレンタルが主流、お色直しで追加 |
| 写真・映像 | スナップ撮影、エンドロールムービー | 20万〜40万円 | 前撮りをセットにすると割引になることが多い |
| 装花 | ブーケ、卓上花、会場装飾 | 15万〜30万円 | 季節の花を選ぶとコストダウン可能 |
| 引出物・引菓子 | ゲストへのお礼の品 | 1人あたり5,000〜1万円 | ギフトカタログが人気 |
式場選びと準備の実践ガイド
式場選びで迷ったら、まずはふたりがどんな結婚式をしたいのかを話し合うことから始めましょう。たとえば「親族だけで静かに祝いたい」のか「友人をたくさん招いて賑やかにしたい」のか。この軸が定まらないまま見学を始めると、会場の雰囲気に流されて当初のイメージから離れてしまうことがあります。
地域によって特色も異なります。沖縄ではエメラルドグリーンの海を背景にしたリゾートウェディングが人気で、北海道なら雪景色や森の中のチャペルが幻想的な雰囲気を演出します。京都では神社での神前式や町家を改装した会場が、東京や横浜では洗練されたホテルやゲストハウスが豊富です。地方都市には、地元の食材を活かした料理でゲストをもてなせる会場も多くあります。
準備期間の目安は約10〜12ヶ月。人気の会場や良い日取りは早く埋まるため、遅くとも挙式の半年前には会場を決めたいところです。プロポーズから両親への挨拶、顔合わせ、婚姻届の提出、そして式場の打ち合わせ——やることは多いですが、一歩ずつ進めれば大丈夫です。
最近では、結婚式の形そのものを見直す動きも広がっています。たとえば東京都内のレストランを貸し切って行う30名規模の会費制パーティー。神前式も教会式も選ばず、ゲストの前で誓いの言葉を交わすだけのシンプルなスタイルも支持を集めています。結婚情報誌の調査によれば、20〜30代女性の約8割が「少人数のシンプルな結婚式を選びたい」と回答しており、価値観の変化が数字にも表れています。
衣装選びもまた、結婚式準備の大きな楽しみのひとつです。和装なら白無垢や色打掛、洋装ならウェディングドレスやカラードレス。最近は和洋をミックスして、挙式は白無垢、披露宴のお色直しでドレスに着替えるスタイルも定番です。ブライダルサロンではレンタルが主流で、ドレスは5万円〜30万円程度、和装は8万円〜35万円程度が相場です。試着は早めに予約を。人気のデザインは数ヶ月先まで埋まっていることもあります。
ご祝儀の相場も押さえておきましょう。友人なら3万円、親族なら5万〜10万円が一般的な目安です。偶数の金額は「割り切れる=別れる」を連想させるとして避けられる傾向があり、奇数で包むのがマナーとされています。ただし最近は「2万円=ペア」という解釈で許容する考え方も広がっています。いずれにしても、相手との関係性を大切に、無理のない金額を選ぶことが何よりです。
結婚式はゴールではなく、新しい生活のスタートラインです。まわりの期待や世間の相場に振り回されすぎず、ふたりが心から「いい式だった」と思える一日を。そのために、今の時期にじっくり情報を集め、ふたりの価値観をすり合わせておくことが、何よりの準備になるのではないでしょうか。